2023-01-01から1年間の記事一覧

休止

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シシリは朝目覚めると下の方のベッドを確認した。日差しが入り込んでいる部屋の中で小さくなっていたイオは既に活動を開始していたようだった。彼ら以外のイノケやフェンケースはいまだに眠っていた。シシリは立ち上がってイオに朝の挨拶をした。 「おはよう…

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シシリは風に吹かれながら自分の力を確認していた。彼は魔法の文言を呟いて、光を繰り出した。彼の周りにはあらゆる生命体が集まってきて、彼の光を求めていた。イオはその様子に満足を覚えている様子だったが、イノケとフェンケースは困惑していた。 彼らの…

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空を飛び続けていた彼らは一度地上に降り立った。シシリは右手に力を込めて光を現した。そこで魚の幻影が現れて、イノケやフェンケースの間を泳ぐようにした。彼らはその様子に感動を覚えたようであったが、それ以外の不安を抱えて強張った。 「実践演習の必…

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イオは右の手のひらを三人の方へ向けて「これをあげるよ」と言った。すると表面に小さな球体が三つほど出現して回転し始めた。彼らはその様子を見つめて、「どうするんですか?」と尋ねた。特にシシリは前のめりになってそれを見守っていた。 「簡単だよ。引…

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シシリは見回して、この空間に出入り口がないことを気に留めた。彼はイオが話していることから少しばかり気が逸れていた。そのため、イオの手元に戻っていた杖は彼を睨みつけるような表情を浮かべた。それからシシリはおよそ杖に向かって口を開いた。 「出入…

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「君にどのような情熱があろうと私には関係がないのだから、もう少し燃えるようにするべきだよ。今はその意味は分からずとも構わないけれど。まだ若いのだからなにを始めるにしても遅すぎるということも早すぎるということもない。私の名前は確かにイオ。か…

煌めくように飛んでいた三人は再びその高度を下げていった。イオと呼ばれた魔法使いの使いであるような生命体に導かれるようにして、彼らは雲の間からすり抜けるように旅路を終えた。霧がかかった空が彼らの周りを覆っていて、触れるとその力が弱まった。 「…

彼らの計画に賛同したものがこの場所にいただろうか? 誰も口を開かない状況で夜が深まっていくのをただ待ちぼうけにしていた。ただその場しのぎの行動を非難されるわけでもなく、大きな声で乗り切ろうとしていた男は一歩足を引いた。 すると叫び声があって…

シシリは首を振ってイノケの方を見た。月明かりに照らされて彼はやや青みがかった頬に手を触れて、「俺にはどうしようもない」と呟いた。彼らはその言葉を受け入れて、一旦帰ることにした。それでもシシリばかりは情熱を失っていなかった。 「イノケとフェン…

イノケが戻ってきて彼ら二人の間に割って入った。彼らの話についていけない様子であったが、そのうち慣れたのか最も口を開くようになった。夜が深まりかける中で、彼は両親から許しを得てシシリの家に泊まることになっているという旨を伝えた。 「それは構わ…

三人はそれぞれの居場所へと戻ることができずに、自分の主張を並べようとした。したがってこの場で一番強者であったシシリの意見が採用されることになる。イノケは彼らにとってただ止めることしかできない男であるから、進むべき時を知らない。 「それで都市…

この世界には伝説と呼ばれるような魔法使いが何人か生存していた。彼らは己の力によってその名を知らしめている珍しい存在であった。このような人々に弟子入りすることによって、人は再び魔法を後世へと伝えていた。 学校は魔法とはおよそ無縁の空間であった…

それらの言葉を全て無視してシシリは自分の居場所へと帰っていった。イノケはその跡をついて、彼に一言声をかけようと試みたが、シシリはほとんど放心状態であった。これ以上何も考えたくないと首を振っているようにイノケは受け取っていた。 実情は違ってい…

「なぜかなんてわからないところに理由があるんだよ」 シシリは適当に答え、彼は彼女から顔を反らせた。アニサマの父親が寝ている場面を横目に通り過ぎて、彼は自分の布団に寝転んだ。自由な時間が始まろうとしている最中、アニサマはシシリの様子を眺めては…

新しいこと

千年前から続いている噂がある。一つか二つの王国で戴冠を果たせば永遠に生きられるというものである。当然迷信と退けられてきた。なぜならばこの世界の王は人間ではない。 ここに戴冠を信じる少年シシリというものがある。 「俺は永遠に生きるようにならき…

大体千文字を書き殴ったもの

初めなので個人的な駄文を書いていきます。特に思い残すことはないようにしていますが、段々と暖かくなってきたため聴いていたことと話していたことの差分が大きくあります。 自分の意見を口にする機会もないために、悩んでいることをここに吐き出そうという…